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ハブダンパー交換 [ZZ-R1100]

 オートバイで交差点を右左折する際には、減速が終了すると同時に車体を倒し込み、駆動力をかけながら向きを変えて加速しながら車体を起こす、というのが一連の動作になると思います。しかし最近、減速から加速に移行する瞬間に一瞬トルクが抜けてスロットルの微妙な操作に駆動力が追従しないことがあるのが気になっていました。駆動力が伝わるタイミングが1テンポ遅れるので、重力によって車体が倒れようとする力と、駆動力によって起き上がろうとする力をうまくバランスさせられないのです。チェーンのたるみが原因ではないかと思って点検しましたが、たるみは規定値の35㎜~40㎜の範囲に入っていましたので問題はありませんでした。次に疑うべきところはハブダンパーです。ハブダンパーとは、リアホイールのハブの中に入っているゴムの緩衝材で、リアスプロケットの駆動力をゴムを介してリアホイールに伝えることにより、シフトショックやバックトルクを吸収して乗り心地を改善したり駆動系へのダメージを軽減する働きをしています。147馬力の駆動力を受け止める部品であり、ゴム製の部品ということもあって、ZZ-R1100では比較的傷みやすい部品とされています。リアタイヤが接地している状態でリアスプロケットを手で前後に回してみました。すると2~3㎜のガタがありました。この遊びが1テンポ遅れる原因だったのです。早速カワサキ純正のハブダンパー(部品番号92160-1911)を注文して交換することにしました。
 
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取り寄せたハブダンパー 

ハブダンパーは埼玉県の「バイクショップはとや本店」さんからネット購入しました。価格は¥4,579で、送料が¥756でした。注文から4日程度で届き、箱を開けてみたところ嬉しいサプライズが! 真新しい軍手とショップからの暖かいメッセージが入っていました。この気配りは素晴らしいですね。次に部品を買うときはまたこちらから購入したいと思うほどツボにはまりました。
 
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 さて、交換作業を開始します。センタースタンドで後輪を浮かせてコンクリートブロックでタイヤを固定します。こうするとアクスルシャフトを抜く時にリアホイールの重さがかからないため、シャフトをスムーズに抜くことができます。また、アクスルシャフトが抜けた時にタイヤが急に落下しないで済みます。もちろん、前輪の前にもコンクリートブロックを置いて、不意にセンタースタンドが外れないようにしておきます。
 
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後輪の脱着に使う道具は主にトルクレンチと8㎜と12㎜のヘキサゴンソケットです。クランプボルト(8㎜)とアクスルナット(12㎜)の締め付けトルクには指定がありますので、それを管理するためにトルクレンチを使用します。締め付けが緩いとチェーンやホイールが外れる可能性もありますし、強く締めすぎるとボルトにクラックが入る可能性もあります。ここは命に関わる重要な部分なので、規定通りに組み付けることにします。トルクレンチは四輪車のタイヤ交換にも使えますので1本持っていると便利です。
 
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最初に左右のチェーンアジャストクランプボルトを緩めます。サービスマニュアルにはこれを緩めなくても良いと書いてありますが、緩めておいた方がこの後アクスルナットを緩めるのが楽になります。エキセントリック・チェーンアジャスタ(チェーンを引くための偏心カム:以下エキセン)がクランプボルトで強く締め付けられていると、エキセンに歪みが生じてアクスルナットが回りにくくなっていることがあるためです。
 
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左のチェーンアジャストクランプボルト 
 
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右のチェーンアジャストクランプボルト 
 
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8㎜のヘキサゴンレンチでチェーンアジャストクランプボルトを緩める
 
アクスルナットを緩める前にリテイニング・リングという名の抜け止めを外します。
 
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リテイニング・リングはラジオペンチを使うと簡単に外すことができます
 
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リテイニング・リングはクマちゃんみたいな形で可愛い
 
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ハブのホイール側とスプロケット側を元通りの位置関係で嵌め合わせられるように、
念のため分解前にテープを貼って印を付けておいた
 
 
車体右側のアクスルナットを12㎜のヘキサゴンで緩めます。この時、アクスルシャフトが回り出さないように、車体左側のエキセンに12㎜のヘキサゴンレンチを挿入して左手で押さえます。
 
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空回りしないように左側のエキセンを押さえながら右側のアクスルナットを緩める
 
アクスルナットが外れたら車体左側にあるリテイニング・リングを外してアクスルシャフトを回しながら抜きます。アクスルシャフトを抜くとリアホイールと共にリアブレーキキャリパも落下しますので、あらかじめブレーキキャリパは紐でグラブバーに吊るしておくと良いでしょう。また、右側のスペーサーカラーも落下しますので無くさないように注意します。
 
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リアブレーキキャリパは落ちないように紐で吊っておくと良い
 
アクスルシャフトが抜けたら、タイヤを地面に下ろし、リアスプロケットからチェーンを外します。チェーンはウエスに包んでスイングアームに載せておきます。
 
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リアタイヤを引っ張り出す 。これが知恵の輪みたいで意外に難しい。
 
タイヤが外れたらブレーキディスクに傷を付けないように2つのコンクリートブロックの間に浮かせて置きます。
 
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リアスプロケットを真上に引き抜いてみるとハブのカップリング(隔壁)と一緒にスルリと抜けました。同時にスペーサーカラーが落ちて来ますので、無くさないように注意します。本来ならばハブの隔壁はハブダンパーのゴムに挟まれて適度な摩擦があるはずなのですが、ゴムが委縮して2~3㎜のガタがあったので全く摩擦を感じることなく抜けました。やはり交換時期に来ていたようです。
 
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リアスプロケットとハブカップリングは持ち上げると抵抗もなくスルリと抜けた
 
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ハブダンパをハブから外したところ
 
ハブダンパーを外して新品と比べてみます。見た目には違いは良くわかりませんが、古い物はゴムがカチカチに硬くなっていて充分に機能を果たしていないことがわかりました。新しいハブダンパーをハブにセットして、分解前に貼ったテープの印に合わせてスプロケットを元に戻します。この時、スペーサーカラーを入れ忘れないように注意します。ゴムの摩擦が強すぎてハブカップリングがスムーズに入らない場合は、ハブダンパーに石鹸水を塗ると良いとサービスマニュアルに書いてありましたが、石鹸水を使わなくてもそれほどきつくはなく、容易にハブを組み立てることができました。スプロケットを手で回してみてもビクとも動きません。これが正常な状態です。ついでに3つあるハブベアリングのそれぞれに指を突っ込んで回してみます。引っ掛かりもなくスムーズに1周回ることが確認できましたので、ベアリングは問題なしです。
 
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左が新品、右が古い物。古い方はゴムが硬化していた。
 
ハブダンパーが交換できたらリアホイールを元通りに取り付けます。この時、2つのコンクリートブロックをタイヤの前後に置いてタイヤを適切な高さに浮かせると共に、エキセンも回しながらホイールのセンター穴とエキセンの穴が一致するように位置合わせしておきます。同時にブレーキパッドの間にブレーキディスクが挿入されるようにしなければなりません。右側のスペーサーカラーも忘れずに挿入します。チェーンも元に戻します。これらを同時に行うためには手がもう2本くらい欲しくなります。
 アクスルシャフトが通ったら、次にアクスルシャフトと左右のエキセンの位置関係を正しく固定します。これをきちんとやらないとアクスルシャフトが捩じれて取り付けられてしまいます。まず左右のエキセンを同じ角度にセットします。エキセンの目盛りを左右ともスイングアーム後端の切り割りの所に合わせると良いでしょう。
 
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この状態でクランプボルトを軽く締めて、エキセンが動かないようにします。次にトルクレンチを使ってアクスルナットを規定値の110N-mで締め付けます。アクスルシャフトが空回りする場合には左側からシャフトに8㎜のヘキサゴンレンチを挿して左手で押さえると良いでしょう。これでアクスルシャフトと左右のエキセンが固定されましたので、左右のリテイニング・リングを取り付けます。次にチェーンの張りを調整します。左右のエキセンが同じ目盛りになるように交互に少しずつ回しながら、同時にタイヤを手で回し、チェーンの下側が一番強く張った時に真ん中あたりのたるみが35~40㎜になるようにエキセンの角度を調整します。角度が決まったら左右のチェーンアジャストクランプボルトをトルクレンチで規定値の39N-mに締め付けて作業終了です。
 リアブレーキが効くことを確認してから試運転に出発しました。エンジンをかけてギアを1速に入れるとシフトショックがマイルドになっているのを感じます。さらにクラッチをつないで駆動力を与えると、以前よりもスムーズに走り出しました。右折のために減速し、車体を倒すと同時に駆動力を与えると、タイムラグなく駆動力が後輪に伝わるのがわかりました。微妙なスロットル操作に対してリニアに駆動力が追従します。以前のギクシャクした走りはなくなり、新車の頃の快適度が戻ってきたようです。古い大型車に乗っていて、最近低速での挙動がギクシャクしてきたなぁとお感じの方にはお薦めのメンテナンスです。

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slowhanded

おぉ、ハブダンパーまで自分で換えてしまうとは。。。o( ̄ー ̄;)ウゥム…。

自分でやると愛車への愛着が増すと共に工賃の節約になって懐にも
優しいですな。( ̄▽ ̄)b グッ!
slowも工賃節約のためにちょくちょく自分で作業します。
若い頃はそれで失敗してお店に頼むよりも高く付くことも
ありましたが。。。( ̄▽ ̄;)ゞ
by slowhanded (2016-11-29 21:13) 

ZZA700

slowさん
ハブダンパーが原因でなかったらどうしようと
一抹の不安もありましたが、すっかり直ってご機嫌です^^
作業は重労働でしたが、すごく楽しかったですよ。
益々愛車への愛着が深まりました(^^)v
失敗は付き物ですよね。私も良くやります。
誰もがそうやって学んで行くのです。( - -)トオイメ
by ZZA700 (2016-11-29 23:55) 

mitton

おぉぉぉ(^^)
クルマのメンテは目にすることが比較的ありますが、
バイクはなかなかお目にかかれませんので、新鮮♪
しっかも、効果を体感できたなんて尚いいじゃないですかぁ☆
by mitton (2016-11-30 07:15) 

ZZA700

mittonさん
バイクの部品は重くないし、電子化が進んでいないので
自分で触れる箇所はクルマに比べて多いですね。
(最近のバイクは急速に電子化されているようですが)
修理後は微妙なスロットル操作に反応するようになって嬉しいです^^
by ZZA700 (2016-11-30 10:27) 

ナビパ

曲がってる最中に駆動が抜けると瞬間とは言え精神衛上よくないし焦りますよね。目立たない部品ですが大切な部品です。
ユーザー車検をとるほどのZZA700さん
ご自分で点検整備さすがです。^^b
購入先の心遣いは嬉しいですね。


by ナビパ (2016-11-30 10:55) 

さる1号

自分のもそろそろ替えた方がいいかな
同じ車種の記事があると参考になって助かります
自分はレンチとブロックを用意するところから始めなきゃ^^;
by さる1号 (2016-11-30 12:36) 

ZZA700

ナビパさん
ご存知の通り、曲がる時にトルクが抜けると
コケそうになって怖いんです。
最初は自分の運転が下手になったかと思いましたが
ハブダンパーの2〜3ミリの遊びが原因でした。
パーツショップの心配りには天晴れです^^
by ZZA700 (2016-11-30 20:39) 

ZZA700

さる1号さん
少しでも参考になれば幸いです^^
低速でカクンカクンして来たら替え時ですよ。
効果は明白で、微妙なアクセルワークが楽しくなります^^
by ZZA700 (2016-11-30 20:44) 

U3

大変な作業ですね。お疲れ様でした。
若い頃にバイクに乗っていましたが私にはとても出来ないなぁ。

by U3 (2016-12-02 12:35) 

ZZA700

U3さん
ホイールを持ち上げたり、立ったり座ったりと
重労働ではあるのですが、サービスマニュアル通りに行えば
難しいことは全然ないんですよ^^
一度構造がわかってしまえばマニュアルなしでもできると思います。
多少面倒ではあるけれど、それを楽しんでやってます^^
by ZZA700 (2016-12-02 22:27) 

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